「総務やさん」第1123号

日本の保守政治家の体質

・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 簗氏が就任わずか28日で農林水産大臣を辞任し、大きな問題となりました。
世論では、辞任は「当然」だと答えた人が8割を超え、首相の対応の遅さについても批判が集まりました。今回、日本の保守政治の問題が改めて見えたのではないでしょうか。

 今回の件で露呈した問題は大きく3つだと思われます。

■辞任と説明責任は別であること
 大臣を辞任したとしても、何が起き、誰が判断し、どのような再発防止策を行うのかを明らかにしなければ、国民の不信感は残ったままになります。

■個人の問題で終わらせると、組織の問題が残ること
 大臣の交代で事態を収束させても、任命した側の責任や、問題を見過ごした組織の意思決定プロセスが検証されなければ、同じ問題が繰り返される可能性が高いでしょう。

■長期政権には利点と欠点の両面があること
 長期政権は政策を継続しやすい一方で、緊張感が失われ、組織防衛や身内への融通が優先されるリスクが高くなる傾向があります。

 簗氏が特に大きな問題となったのは、選挙での支持と予算配分との関係です。

 「自分を応援しなかった自治体の予算を減らした」という旨の簗氏の発言は世の中に非常に大きなインパクトを与えました。国の予算は地域の必要性や事業の妥当性に基づいて決定されるべきであり、政治的な意図が影響していたとしたら深刻な問題でしょう。
 また、当初首相は問題を軽視し、続投を認めていました。その判断の妥当性や、後の対応についてもいまだに説明がされていません。

 簗氏の大臣辞任そのものより、自身の政党に不都合な問題に対しても自浄作用が働く仕組みがあるかどうかという点に、国民は注目すべきなのではないかと思います。
 大臣辞任が単なる政治的収拾策で終わるのか、それとも行政の公平性や説明責任を見直す契機となるのか。この違いが、長く続いている保守政党である自民党への信頼を左右することは間違いないでしょう。


情報漏洩時代に求められるセキュリティ対策とは

・・・・野田 貴仁(のだたかひと)

 最近、ランサムウェアや不正アクセスによる情報漏洩のニュースを目にする機会が増えています。かつては大企業が主な標的でしたが、現在は中小企業も例外ではありません。

 その背景として挙げられるのが「サプライチェーン攻撃」です。攻撃者はセキュリティ対策が強固な大企業を直接狙うのではなく、取引先や委託先など比較的対策が手薄な企業を足掛かりに侵入しようとします。そのため、自社だけでなく取引先も含めたセキュリティ対策が重要視されるようになっているようです。

 さらに近年は生成AIの普及により、フィッシングメールが急速に巧妙化してきました。以前であれば、不自然な日本語や誤字脱字から偽メールを見抜けることもありました。しかし現在では、AIによって自然な文章が短時間で大量に作成できるため、従業員が偽物と気づきにくくなっています。

 こうした状況のなかで、企業のセキュリティ対策は「導入して終わり」ではなく、「継続的に管理し改善すること」が求められるようになっています。

 ソフトウェア開発の分野には「CMMI(能力成熟度モデル統合)」という成熟度モデルがあります。レベル3では標準化されたプロセスが定義され、レベル4では測定・管理され、レベル5では継続的な改善が行われます。

 実は、今後導入予定のSCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)も似た考え方で理解できます。
★3:セキュリティ対策を実施している状態
★4:対策状況を管理・運用している状態
★5:継続的に改善している状態

 例えばバックアップを例にすると、以下のようなイメージになります。

  • バックアップを取得している=★3
  • 取得状況や復元テストを定期的に確認している=★4
  • 事故や障害の発生状況を分析し、継続的に見直している=★5

 つまり、重要なのは「何を導入したか」ではなく、「どれだけ継続的に管理・改善できているか」ということです。

 2026年度末にはSCS評価制度の運用開始が予定されています。制度そのものに注目が集まりがちですが、その本質は、情報漏洩やサイバー攻撃から自社と取引先を守るため、組織としてセキュリティを管理し続ける仕組みづくりにあります。

 まずは、自社のバックアップ、アクセス権限、端末管理、従業員教育などの基本対策が実施できているかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。制度対応は、その延長線上にある取り組みと言えるでしょう。