「総務やさん」第1096号
●給与(賃金)の話 第114回
・・・・細口 桂三(ほそぐちけいぞう)
今回は、育児休業代替手当について紹介したいと思います。
◎「育児休業代替手当」
1.歴史的発生経緯
2020年代頃から育児休業諸制度の拡充により男性の制度利用者が増加し、企業において育児休業者の人数も増え、かつ休業も長期化している状態です。さらに人手不足も加わり、業務遂行の欠員が増え、休業者の業務を代替する従業員の負担が増えたことと、マタハラ・パタハラへの懸念から、企業が手当導入しはじめたと思われます。
2.支給目的
育児休業代替手当の趣旨は、職務量・成果量の増加に報いるためと代替担当者の不満解消を目的として手当支給するのが一般的であると考えます。
これにより、職場内で育児休業者が気兼ねなく育児休業諸制度を利用できることと職場の協力体制の環境が整う効果を狙うものであります。
3.手当名称のその他例
- 育児休業支援手当(休業者本人対象の手当もあり)
- 育児休業代替手当
- 業務応援手当
- 業務負担調整手当
- 臨時業務手当
- 多能工手当(製造業・運送業など)
4.支給形態
月例の手当として支給する場合と賞与にて支給する場合が考えられます。
以下は、それぞれの例をいくつかあげています。
- 月例手当にて支給する場合
- 毎月一定額
- 対象期間限定(例:代替職務遂行期間中のみ)
- 業務内容・時間増加を評価して支給
- 残業代とは別枠で支給
- 賞与にて支給する場合
- 当該休業者の休業しなかった場合の賞与支給想定額を原資に分配
- 職務分担割合により配分決定
- 通常の賞与金額に上乗せにて支給
5.手当金額(例)
- 毎月月額2万円
- 職務負担割合による賞与支給(例:休業者の賞与想定額100万をAさん40%、Bさん30%、Cさん20%、Dさん10% と設定し、分配支給する。等)
6.支給基準設定ポイント(留意点)
- 不公平感が生じないようにバランス配慮をする
- 特定社員だけに恒常的に支給すると賃金差別、処遇不公平の懸念
- 対象業務、支給要件、支給期間を明確にする
- 賃金性=賃金扱い(月例の場合は残業単価に参入)
- 社会保険料・雇用保険料=算定対象
- 所得税=課税
7.今日的位置づけや今後の方向性
- 真の目的は不満軽減にあると思われます
- 導入に当たっては職務内容の明確化が前提であり、休業者発生時において適切な職務分担をし、支給額を決定することが望まれます
- 厚生労働省の両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の対象となる可能性もあります
今回は「育児休業支援手当」を紹介しました。
